Journey

 周知のように、センター試験というのはふつうは二日間続くものである。しかし、模擬試験というのはそれを一日でやろうとするから無理が生じる。

 今でも印象に残っている模試がある。K塾の模試だったのだが、あそこの模試は、申し込み順に、中心から周辺へと試験会場を割り当てていくという仕組みだった。たまたま遅く申し込んだ私は、地下鉄で最果てまで行った後にバスを乗り継いだ挙句そこからかなり歩くという、辺境の大学を会場に引き当ててしまった。

 そのために、朝六時には家を出ることを余儀なくされたのだが、秋も深かったので真っ暗だ。それでもぎりぎりで会場入りし、そこから、夜の六時か七時ごろまでぶっ通しで試験を受けたのだった。

 そんなところで試験をする羽目に合う要領の悪い友達はなく、近くに気の利いたメシ屋もなく、わしは、メシ抜きで孤独な昼休みを過ごしたことをよく覚えている。


 どうにか試験が終わったときには、周りはまた真っ暗だ。疲れ果てた同志たちがバス停までの道をダラダラ歩いている。そんな地獄のような光景にやりきれなくなりウォークマンをゴソゴソ取り出すと、最初に流れてきたのが桑田佳祐のJourneyだった。

孤独の太陽

孤独の太陽

 こんなに音楽が身に沁みたのは、後にも先にも一度もない。