どんでん返し映画3選

 ここ最近、結構多くDVDを観てきたのだが、その中でもオチが秀逸だった映画を3本ほどご紹介。
 

カオス<CHAOS> DTSスペシャル・エディション [DVD]

カオス DTSスペシャル・エディション [DVD]

 先ずは、こちら。

 武装した強盗団が銀行を襲撃。人質をとり立てこもった彼らのリーダー・ローレンツは、包囲する警察に対し、交渉人としてコナーズ刑事を呼ぶよう要求する。コナーズは以前担当していた事件での失態で謹慎処分中だったが、新人のデッカーとコンビを組むことを条件に謹慎を解かれて現場に復帰。強盗事件現場での交渉に乗り出した。そんなコナーズに対しローレンツは「混沌<カオス>の中にも秩序はある」と謎めいた言葉を残し……。

 まあ、カオス理論云々は余計な味付けだが、冒頭から結末まできっちりアクションを描いていて視覚的に飽きさせない。それでいて、実にミステリ・ファン好みの落とし方。

 ……さて、この作品までは、文字のミステリと映像のミステリは割と幸福な結合を果たしていると言って良い。しかし、以下の二作を見れば分かるが、そういうのはほぼ例外なのではないかしら、というのが、私の印象。
 

 次は、メメントやダーク・ナイトのC. ノーランの作品。

 19世紀末のロンドン。若き奇術師アンジャーとボーデンは、中堅どころの奇術師ミルトンの元で修行をしていた。しかしある日、アンジャーの妻で助手のジュリアが水中脱出に失敗し死亡。事故の原因はボーデンの結んだロープが外れなかったことだった。これを機にアンジャーは復讐鬼へと変貌し、2人は血を流す争いを繰り返すことになる。その後、結婚し幸せな日々を送るボーデンは、新しいマジック「瞬間移動」を披露するのだが……。

 「小説的にはナシだが、映画的にはアリ」。こういう作品がたくさんあったのは、長年のミステリ・ファンにして俄か映画ファンである私には驚きだったが、本作などはその筆頭だろう。こんなのを文字で読まされたらブチ切れて表表紙と裏表紙とをクリップ止めの計に処しただろうが(©温水ゆかり)、映画だったら「ホウ」となってしまった。不思議な現象だった。

 

 最後は、コレ。

 天を突いたような豪雨の夜、寂れた街道で交通事故が起こる。加害者のエドジョン・キューザック)は、近隣のモーテルに救援を求めるが、豪雨で電話は不通。道路も冠水し、行く手を阻まれてしまう。やむなくエドはモーテルに引き返し、天候の回復を待つ。モーテルに集ったのは、同じように立ち往生した10名の男女。女優と運転手、娼婦、新婚夫婦、囚人と刑事…。互いに見ず知らずの彼らは、それぞれが何か秘密を抱えているようだった。やがて彼らは雨に閉ざされたモーテルで、1人また1人と謎の死を遂げてゆく。

 ファイナル・デスティネーションとどちらにしようか、ちょっと迷った。要するに、「身も蓋もない」というやつ。これも文字では滅多にお目にかかれない性質のオチだと思う。それと、本作はまた、ミステリ小説的にはズルだが映画ならアリという例のジャンルにも入る。ともあれ、ごく短時間にバンバン人が死んでいくのも気持ちよいし、悪魔的な結末もすばらしい。