我々は灰色の中に留め置かれている

 近年、政治家をはじめとして、テレビで注目を浴びた途端に何やらの罪でしょっ引かれて表舞台から姿を消すという流れが定着している。
 我々は何がしかの違法行為を行いうる。多くの場合は、ただもう慣習として。
 例えば、賭け麻雀は確かに違法行為ではあるが、「点五」の雀荘などはそこらじゅうにある。それにも関わらず、ある日突然、蛭子さんは賭博行為で逮捕されてしまった。その反対に、森元首相らがゴルフで賭けていたという「チョコレート」とやらは明らかにお金のことであったはずだが、ウヤムヤにされてしまった。
 要するに、我々は、「厳密にいえば違法行為だが運用上では大目にみてもらっている」というグレーゾーンの中にいる。このことはまた、「何か事が起きれば、いつでも表舞台での発言権を奪われうる」ということをも意味している。
 その選択は、きわめて恣意的でありながら、徹頭徹尾遵法的であるという点でイヤな正統性を帯びている。