選挙に行ってから、

ミシェル・フーコー―構造主義と解釈学を超えて

ミシェル・フーコー―構造主義と解釈学を超えて

を精読する。
 対象の項で言表様態の項から引用をしたり、と、言説分析の4水準を重視していないのではないか、という疑いが生じた。 
 対象化、主体化(言表様態)、概念化、理論化の各水準について、言説的実践と非言説的実践の関係は全く異なるものである。
 とりわけ、極端な例となるのは、概念化と理論化の差であろう。前者は、カンギレムの科学史の影響を受けて言説の自律的を強く主張するけれども、後者は、言説がいかに運用されるのか、という非言説的実践に焦点が当てられるのである。
 両者の中間が対象化と主体化であるが、主体化の分析においては、言説的実践の非言説的実践に対する優越性が明らかだが、対象化においてはそれほど明らかではない――あいまいである、という差がある。
 先行研究ではこの分析水準の差が見過ごされてきたと思う。