システム・エンジニアってなんだろう

マンパワー!


 ここらへんをみていて、

 http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0506/06/news010.html

 わしの前職であるシステム・エンジニアについて考えさせられた。すべての皺寄せが、従業員の深夜労働・休日労働へと繋がっている。それでいて、なぜか正当な対価というものをもらえないようになっているので、そうした赤字はサービス残業という形で補われる。
 こんな無理を続けていれば、全うな家族生活なんて不可能。若手には結婚のチャンスもない。そうして一人で足掻いた挙句、カラダか精神を壊して退職することになる。凡そ三十の半ばあたりで。
 これはきっと、システム構築というのが、「人を置けばナントカなる」の思想で動いているためではないか、と思う。まず契約というものが「人ひとりに就き幾ら」でなされている。人を放り込めば放り込むほど儲かるのでやたらと人を客先へ突っ込む。
 しかし、人ひとりにつきどれだけのお金が必要となるかを決めるのは、プロジェクトの規模と難度、客の要望の水準である。それによって、一人当たりどれだけの労働をしなくてはならず、どれだけのコストがかかるかが変わってくるはずなのに、そうしたことが頭に入っていない。
 それから客のほうもそうだ。大抵の客はSEに対して優しい。「いつも無理をさせて」などといって深夜に泊まるためのホテルの部屋をとってくれたりもする。でもこれは、無茶な計画だって人の力でナントカなるに違いないという思想の裏返しである。そうして無茶な計画を立てないための制度を作ることを怠る。
 そこにあるのは、人の力の可塑性を無限に見積もる思想である。その可塑性を一旦固定して、制度的・契約的にきっちりとしたものを作ることをしない・できない、そういったところにシステム・エンジニアの不幸がありそうだ。