働かないひと

すげえヘイトだぜ


 世の中全体が働かない人間を憎みだしているような気がする。
 そういう気配を感じるから、昼にぶらぶらすることに罪悪感を感じたりもする。朝方、漫画喫茶から眠い目をこすりながら駅と反対方向にある家へと向うときにすれ違うサラリーマンの群れに対して泣いて謝罪したくなる。何を。
 とまれ、ブルデューを読んでいて気付いたのだが、それは、ライフスタイルのパターン形成に階層が大きく作用しているのはもちろんだが、そうした対応関係からある程度までは自由な人々というのがいて、それが(外で)働いていない人々だ、という点である。
 具体的には、やたらとカメラを欲しがるガキんちょや、比較的時間のある専業主婦である。

こんな風に美術への無関心を露呈する夫(職工長)にいささか困って、妻は言う。「でもあなたはほら、ミケランジェロがとても気に入ってたじゃないの。システィーナ礼拝堂はやっぱりいいって言ってたわよ」

 ライフスタイルという観点から見て、中流階級固有のそれを創り始めたエージェントとはきっとこの働かない人々であったろうと思う。