ビーム編集長のおことばより

 なんだか感銘を受けたので引用する。

 あー。今日発売のビームの新人賞発表ページで、俺はこーゆー文章を書いた。

 “あー。今回は編集者の話です。まず、あったり前のことを書きますが、大勢の新人を育てるってえのは、大勢の新人をツブすのと同義語なんであります。もちろん編集者は全員、目の前の漫画家を成功させたいと願っている。だけど、漫画家を育てるスキルは漫画家を多くツブさないと磨かれることは絶対にない。そー言う世界。業が深いのよ。だから、イージーにクリエイターを育てるなんて語る奴は殴りたくなるワケです。ホント。”

 んーかなりいろんな部分を省略しまくった文章なんで、若干補足したりして。
 まず、前提として新人漫画家がプロとして漫画で生計を立てれる確率は極めて少ない。競争率で言えば数百倍くらいになるのかなあ、たぶん。
 だから我々、編集者は年間でかなりの新人や持ち込みの人を見るんだけど、そのうちプロとしての才能がある人と出会えるのは多くて数人。そんで、その中から、実際にプロとしてやっていける人は数年に一人なんてのが実情。上の文章で“大勢の新人をツブす”と書いてますけど、その新人というのは“才能のある新人”という意味なんですな。
 そんな連中の育成を失敗して、砂を咬むような思いをして、「あの時、ああしていれば…」なんてウジウジ考えることが大事なんだわ。その積み重ねだけが、漫画家を育てる技術を向上できる唯一の方法。たとえば、たまたま新人の漫画家が良い結果を出したとして、その漫画の担当編集者が“俺のヤリ方はいけてる!”なんて思ってたらヤバイ。こんな流行りモンの世界、成功には時流やら偶然やら不確定な要素が多々あって、その成功までの方法論は普遍化できるもんじゃないんです。
 だけど逆に失敗には必ず普遍化できる原因が存在するんだわ。だから上手くいく方法なんて存在しないけど、失敗しにくい方法の精度を上げていくことはナントカ出来る。それが編集者の新人を育てる技術ってことです。