退屈この上ないといった調子で酔ったリーマンがラインを消していくケータイのテトリス。誰もがテトリスの商品価値はなくなったと信じた。
だが、そこへ敢えて切り込む者がいた。粗いドットとチープな音源という過去の資産を総動員し、ライトユーザーの記憶をシズルする。ただのライン消しゲームに過ぎないが、だからこそ、過去を気軽に追体験するための簡易なアリバイとなる。
ブームが去ってから十数年テトリスと名のつくソフトは無数に出たものの、どれも儲けを出すにはいたらなかった。もしもコイツが成功するのだとしたら、これまでのテトリスは何だったのだろうか。どうして同じ素材を用いてこうも異なってしまうのか。ゲームとは何か。