コフィン・ダンサー

コフィン・ダンサー

青い虚空 (文春文庫)

青い虚空 (文春文庫)

静寂の叫び (Hayakawa novels)

静寂の叫び (Hayakawa novels)

まさにディーヴァーづくしの最近なワケだが、いつもながら、圧倒的に面白いのだ。
 パターンはいつも同じだ。狩る側と狩られる側の頭脳戦である。しかし、頭脳戦の舞台は無数にある。あるときは、殺し屋対犯罪科学、ある時は、クラッカー対ハッカー、ある時は、誘拐犯対交渉係、いずれもその分野での隠語そのほかを完全に自分のものにしてから、それらの世界に固有の武器と防具とを用いての背後の取り合いという展開となる。
 一時期、複数の主体がそれぞれに入り組んで様々な野望を張り巡らすという込み入った話が受けた時代があったが、現代的な流行は、天才同士の頭脳戦という極めてシンプルな構図に回帰しつつあるようである*1
 ボルヘスの言葉を思い出す。敵を罠に落とすにはたった一本の直線のみを用意すればよい。ギリシア人はこの一本の直線から無限の迷宮のパターンを思いついたとか。

*1:ガモウ先生のデスノート然りである