省察

 a)告白とは、個人的な出来事をあくまで個人的な物へとどめおこうとする実践である。b)科学的な対象化とは、個人的な出来事を集団的な言説とする実践であるが、そのために、当事者性が犠牲にされる。
 言説に対する、告白による個人化と人間諸科学による集団化とは、互いに対となって装置を構成している。
 これらに対立する実践が「省察」である。
 省察は告白とは異なり、個人的な出来事を個人的なままで終わらせない。特異な経験をいかにすれば、一般的な思考の対象たりうるものへと練り上げることができるのかが問題となっている。
 省察は、また、人間諸科学による対象化とは異なり、当事者による実践である。