蝉しぐれ

蝉しぐれ (文春文庫)

蝉しぐれ (文春文庫)

 緩急自在。のんびりした田舎の風景とサスペンスフルに展開する剣戟。物語の底流をなしていた淡い慕情が深い感慨となって小説が終わってしまった。
 一年に一度のペースでこのレベルの小説を読めるならば、その人は、幸福な読書人生を送っていると言えるのではないか。