ファーゴ(ネタバレ)
- 出版社/メーカー: パイオニアLDC
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問題なのは、その舞台がノース・ダコタのファーゴという雪国であることと、事件を追うのが妊娠中の警察署長であるという点のみである。
そのために7人もの人間が死ぬくせに大したアクションシーンもない。雪の中をズッポズッポと歩きながら逃げる犯人は、同じように腹を抱えるようにしてトロトロ歩く女刑事に、あっという間に捕まってしまう。そして終わり。
7人が死ぬ映画なんていくらでもスタイリッシュにできるはずだ。いまどきのスタイリッシュとは、カットを多用して、遮二無二スピード感をあげて見せればよい。しかし、間抜けな風体でしか移動できない雪と妊娠中の追い手という縛りはその逆のスローさを強調している。
ついでに、追い手も大した推理をみせるわけでもない。淡々と行くところへ行って聞くことを聞いているだけである。頭の閃きが足ののろさをカバーしているわけではないようだ。
その結果としてなんともいえない虚無感が残る。7人が死んでもカタルシスはまったく産まれない。「なんだかなー」「なにやってるんだろうな」という虚しさだけがずっと残るのだ。
どんな悲惨もショウになってしまう昨今ではなかなか得られない虚しさだ。