マイクル・コナリー日和

 最近はコナリーを立て続けに読んできた。

 コナリー作品では、印象的なキャラクターよりもデータの集積がもたらす驚きに重きが置かれているように思える。

 したがって、おそろしく地味なデータの収集過程とそこでのちょっとした驚きとが連綿と記述され、その結果として暫定的な犯人像が浮かび上がるのだが、積み重ねられたデータがその犯人像を裏切ってみせるのである。

 この、残り少ななページの中で、積み重ねられたデータを見直したときにはじめて浮かび上がる真相こそが、極めてサスペンスフルな効果を生むのである。無数のデータの中に散りばめられているささやかな徴候が意外なパターンを形作る、その瞬間こそが、この作家の本質だと思う。

 データが自ずから集まってきて驚くべきパターンを生み出すという、この運動こそが重要なのであり、探偵、犯人、その他諸々は媒介に過ぎない。