推定無罪

 

推定無罪 (上) (文春文庫)

推定無罪 (上) (文春文庫)

推定無罪 (下) (文春文庫)

推定無罪 (下) (文春文庫)

 最初の200ページは大した吸引力もなく淡々と進む。しかし、そこを越えたら手を止める術はない。敵が脆すぎるきらいがあるが、それを補って余りある真相。
 そして研ぎ澄まされた主人公の感情描写。尖った人間観察、どんよりした虚無感、そして何より驚愕するのは、ラストのエルロイばりの感情の奔流であった。まさか、リーガル・サスペンスのフレームにエルロイ的興奮がやってくるとは思わなかった。
 たまたま頭が冴えていたのか真相は途中で分かってしまったのだが、それでも、ラストにこれほどの感情的クライマックスが待っているとは思わず、読後しばし呆然としてしまった。


 もう昼だ……