ミステリ二つ

ミステリを書くとしたら……

 ブルデューにミステリを書かせたら、恐ろしくビターなハードボイルドが出てくるだろう。多分、孤高(笑)の私立探偵ものだ。
 ゴフマンはどうだろう。島にフィールドワークに行った折にミステリを携行していたというから、それなりの好みを持っていたのだと思うが、どんなのを書くだろう。探偵というよりも社会派刑事モノではないだろうか。みんなで軽口を叩きながら捜査に当たるイメージ。この軽口が読ませるのだ。
 フーコーは間違いなくシリアルキラー物だよな。変態だし。ていうか、もう書いてるか。


とオチたところで

 

夢果つる街 (角川文庫)

夢果つる街 (角川文庫)

 荒れた街を一人統治するタフガイの話かと思いきや、あっと言う間に、タフガイもまた荒れた街の一構成要素に過ぎないことが分かる。ヒーロー物にしないための意図的な努力が――こういう努力は往々にして人工的でカルキのような臭みがあるものだが――読み手の側の好意的な歩み寄り無しに成立している。
 
ビッグ・ゲーム〈上〉 (Hayakawa Novels)

ビッグ・ゲーム〈上〉 (Hayakawa Novels)

 一気読みした。ゴルゴ的というか劇画的安っぽさがベースなのだが、安っぽかろうが、面白ければいいじゃないか。クソ田舎、ベトナム戦争、洗練された都会。基本的にはこの三種類の場所と人格のシャッフルによって構成されている。