P.D.Jってどうなの

 

 と読んでみて、この作家も、レン・デイトン同様、雰囲気で読まれるべき作家であるなあと思う。ゴテゴテとした風景描写が事件のカギと全く繋がらないことなどしょっちゅうなので、適当に飛ばし読みをしてしまってもかまわない。ただ、事件を機にいろんな人たちの見かけほど深くはなかった「底」が見えてくるのをニヤニヤ愉しむのがよいかと。しかし、やってることは単なる暴露に過ぎんのだが、それが、人間性なり何なりについての洞察と受け止められうるこの品格は何だろう。
 単なる暴露が洞察と受け止められるのは、日本の私小説なんかも一緒なんだけれども、そこに品格は感じないな。