飯田隆『ウィトゲンシュタイン』
- 作者: 飯田隆
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/12/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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例えば、最近の研究動向について、専門家向けのウィトゲンシュタイン研究が出る一方で、現代思想の比喩的存在として彼を論じる本もあるといった具合に、一見すれば、ウィトゲンシュタイン健在を思わせるが、
だが、このどちらの種類の文献に対しても、ウィトゲンシュタインの哲学がいまなお生きている哲学であるという何よりもの証拠、すなわち、日々の哲学的議論の相手としてウィトゲンシュタインを遇するということは期待できない。ウィトゲンシュタイン関連文献におけるこうした欠落をもっとも雄弁に物語るのは、まともに取り上げるに値するようなウィトゲンシュタイン批判がごくわずかしか存在しないという事実である。
一介の「XX」研究業者として身につまされるのと同時に、過去の大学者が消えていくっていうのはそういうことなんだよなーと思わずにはいられなかったり。