スウェーデン警察

 

目くらましの道 上 (創元推理文庫)

目くらましの道 上 (創元推理文庫)

目くらましの道 下 (創元推理文庫)

目くらましの道 下 (創元推理文庫)

 スウェーデン警察モノ。なのに、なぜかイギリスのミステリ賞を受賞してしまったという傑作。……とはいうものの、警察モノというジャンルの作品に目の覚めるような興奮を期待することはできない。
 その代わり、難航する捜査過程で描かれる刑事たちの人間関係を読むことには地味な面白さがある。わたしの場合、私立探偵モノと交互に読みたくなるというヘンな周期がある。
 さて、この作者の作品を読むのはこれで2作目となるが、地味な面白みに終始した前作に比べると、本作は、過去の異国の地での謎めいたプロローグが最後で綺麗に決まって深い感動を味わうことができた。物語的余韻というべきか。ちょっとした逸話の組み合わせなのだが、それだけで、どっと深みとコクを増す。うまい工夫という他ない。