2009年のゲーム

 なんつうか、電車に乗る時間がやたらと増えたのが昨年。仕事帰りにはゲームで時間を潰す。

 これ一発で日本ファルコムのお得意様になってしまった。PSP持っててこれやってないなんて人生損していると言い切ってしまいたい。
ブランディッシュ ダークレヴナント - PSP

ブランディッシュ ダークレヴナント - PSP

 大体二十時間、上級編で三十時間、延々とダンジョンからの脱出を目指すシンプルにしてストレスの無いアクションRPG
ドラゴンクエストIX 星空の守り人

ドラゴンクエストIX 星空の守り人

 某S君とどっちがやり込めるか勝負した一作。負けたけど、俺も相当プレイしたんだぜ。
A列車で行こうDS

A列車で行こうDS

 気絶するまでプレイするという久しぶりのど嵌りっぷり。線路をひいて人口を増やし続けるゲーム。環状線にすると大概の局面は打破できる。暇になったらバスで我が町を一周。
エルミナージュ DS Remix ~闇の巫女と神々の指輪~

エルミナージュ DS Remix ~闇の巫女と神々の指輪~

 いわゆるWizライクなハクスラ。延々と潜り、延々とレベルを上げ、延々とアイテム入手を狙い続ける。ボコボコ理不尽にぶち殺される自キャラ達の悲鳴を薄笑いを浮かべつつ聴く。そんなゲーム。
イース 7(通常版) - PSP

イース 7(通常版) - PSP

 これも日本ファルコム。これといった押しも無いくせに、延々とやり続けることに。今時珍しいストレスレスなアクションRPG。本当によく出来てますんで、やっとけ。
英雄伝説 ガガーブトリロジー 朱紅い雫 PSP the Best

英雄伝説 ガガーブトリロジー 朱紅い雫 PSP the Best

 空の軌跡英雄伝説の6にあたるわけだが、3から5は三部作。この作品は三部作で一番良くできてる。ちょうど真ん中の4作目だが、話に余りつながりも無いのでこれだけプレイしてもオーケーです。

 ゲーム脳

 先日電車に乗っていると、俺の両隣に(俺を含めた数名を挟んで)二人、真向かいに二人、サッカー少年らがPSPでゲームやっていたんだが、そこそこの距離があるにもかかわらず、「やった!一人殺したぜ」「今死んだの誰?」「俺今三人ぶっ殺した!」と大声で物騒なコミュニケーション。

 小ネタ

 再開を誓ってから約二週間経つって、どんだけ月日が流れるのは早いんだよ……

 とまれ、先日何気に我が部屋の文庫の山を見つめていると、思わず苦笑してしまうタイトルが。

唾棄すべき男 (角川文庫 赤 シ 3-7)

唾棄すべき男 (角川文庫 赤 シ 3-7)

 「俺のことかー」と心の中で叫ぶ。

 目利きのゲーム

pqrs2010-01-01


 「しょうがつそうそう」、という書き出しにしようと変換したら、「正月葬送」と出て、いきなり落ち込んだ。

 とまれ、正月早々、宅配ピザを頬張りながら惰性でテレビを視ていたところ、豪邸の中から最も高価な品を見つけた者が勝ち、というゲームをやっていた。

 双方が高価そうな時計を選んでいたのだが、結局一番高いのは部屋の隅に掛かっていた絵であった。

 「絵っていうものの値段は、時計や宝石とは違って、見ただけでは分からないところに個性がある」と思ったのだが、よく考えれば時計も宝石も見た目で値段が分かるものではない。例えば、目利きをやっている丁度そのときに宝石市場が暴落することだってあろうし、どこにでもありそうな時計が、XXモデル限定品ということでレア値が付いていることもある。

 そう考えると、ものの価値を見極める眼というのは、見識といったものによって培われるのではないのではないか。地味に情報を収集し続けること、そのことが大事なのだろうが、「目利き」という言葉にはそうした努力の一面が見えなくされているように思える。

 ある先生の思い出

pqrs2009-12-31


 昨日、目覚めて暫くぼうとしている間に唐突に思い出したことである。中学、高校と、わたしの恩師であった先生が、我々の授業態度のあまりの悪さに体罰を振るったことがあった。

 ふだん、攻撃的でさえあった左翼的言動にふるまいをする彼、そして、その彼に可愛がってもらっていた自分は少なからずその影響を受けているはずであるけれども――、その彼が、体罰を振るわざるを得なくなるとは、相当なことがあったのだろう。

 それにしても、そのときの彼の言い分が、2009年の年末を迎えようとする頭の中に突然浮かんできたのだった。「わたしは人間に対してはいかなる暴力も振るうつもりは無いけれども、君たちのやっていることは人間以下なのだから、体罰を振るわざるを得ない」。

 今のわたしは、当時の彼よりも六、七歳は年上である。そのことにも不思議な思いがするが、年上の立場から吟味するに、彼の発言ほどに近代の矛盾を凝縮して示したものはないように思える。ほほえましく思う気持ちと戸惑う気持ちと、失望する気持ちと同情する気持ちとが入り混じって、なんとも悩ましい。

 最近の読書

 年末〜正月休みに読んだ本。なお、★の数は前回の基準より一個ずつ下げてます。平均が★★で。

 

狂犬は眠らない (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 14-1)

狂犬は眠らない (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 14-1)

 ★★悪くはないがやや冗長だと思う。

 スパイとして働きすぎて頭のいかれた五人組。秘密病院に収容された元CIAメンバーの、ラッセル(音楽をいつも口ずさまずにはいられない)、ゼイン(暑いところにいると発狂する)、ヘイリー(悲観的な思いに常にとらわれている)、エリック(命令形の言葉をきくと必ずそれに従ってしまう)、ヴィク(前触れもなくフリーズしてしまう)らは、病院で起きた医師殺人事件の容疑をかけられてしまう。真犯人を見つけるべく病院を大脱走した彼らの運命は?

 

スリーピング・ドール

スリーピング・ドール

 ★★★佳作、かな。悪くはない。これは中盤がひどく中だるみ。割と凡庸な家族ドラマを見せられるのが残念。

 キャサリン・ダンス―カリフォルニア州捜査局捜査官。人間の所作や表情を読み解く「キネシクス」分析の天才。いかなる嘘も、彼女の眼を逃れることはできない。ある一家を惨殺したカルト指導者ダニエル・ペルが、脱獄、逃走した!捜索チームの指揮をとるのはキャサリン・ダンス捜査官。だが、狡知な頭脳を持つペルは大胆に周到に裏をかき、捜査の手を逃れつづける。鍵を握るのは惨殺事件の唯一の生き残りの少女テレサ。事件について何か秘密を隠しているらしきテレサの心を開かせることができるのは、尋問の天才ダンスしかいない…。ハイスピードで展開される逃亡と追跡。嘘を見破る天才ダンスvs他人をコントロールする天才ペルの頭脳戦。「言葉」を武器に悪と戦うキャサリン・ダンスの活躍を描くジェフリー・ディーヴァーの最新作。ドンデン返しの魔術師の超絶技巧がまたも冴えわたる。

 

 ★★08年度のこのミスの5位だったか6位だったか。フェアな作品なんで、そういうのが好きならば買いだろう。人物造詣も悪くない(けど絶賛するほどでもない)。

 ハードゲート大学の数学講師ピーターは、横領容疑で免職の危機にある亡父の友人ハクストンに助力を乞われた。だが審問の場でハクストンは、教授たちに脅迫めいた言葉を吐いたのち変死する。次いで図書館で殺人が起き、名誉学長暗殺を仄めかす手紙が舞い込む。相次ぐ事件は、ピーターの父を死に追いやった八年前の醜聞が原因なのか。クリスティが絶賛した技巧派が贈る傑作、本邦初訳。

 

時間封鎖〈上〉 (創元SF文庫)

時間封鎖〈上〉 (創元SF文庫)

時間封鎖〈下〉 (創元SF文庫)

時間封鎖〈下〉 (創元SF文庫)

 ★★★★今期の一押し。

 ある夜、空から星々が消え、月も消えた。翌朝、太陽は昇ったが、それは贋物だった…。周回軌道上にいた宇宙船が帰還し、乗組員は証言した。地球が一瞬にして暗黒の界面に包まれたあと、彼らは1週間すごしたのだ、と。だがその宇宙船が再突入したのは異変発生の直後だった――地球の時間だけが1億分の1の速度になっていたのだ!ヒューゴー賞受賞、ゼロ年代最高の本格SF。

 で結局、このままでは数十年中に太陽に飲み込まれるので、火星に移住しようというのだが、この前半の山場こそがSF的には一番の読みどころであろう。つまり、地球の1年は地球の外の大よそ1億年なわけで、火星に対する地球からの干渉の結果はすぐに判明するのである。例えば、人間を送り出したら、1年もしたら、1億年後の人類と出会えるわけである。これはかなりワクワクする展開。

 なお、そもそもなぜこんな時間封鎖が起きたのかという究極にして魅力的なナゾが残っているので後半も安心して読んでいただきたい。危機を前にした人間ドラマとしても、読み応えがある。

 不満点は、1億年後の火星の姿があまり見えてこないこと。地球人を圧倒するであろう長大な歴史を少しでも良いので垣間見せてほしかった。

 最後に、原題の"SPIN"がイマイチ何を指しているのか分かりづらいのだが、方々で意訳してくださっているので、お話を理解するのに殆ど苦労しないで済んだ。訳者の方に感謝したい。

 今年の洋ミスについて

 題記の件、ベスト3を挙げるとすると、上から順に、

フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)

フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)

極限捜査 (文春文庫)

極限捜査 (文春文庫)

タンゴステップ〈上〉 (創元推理文庫)

タンゴステップ〈上〉 (創元推理文庫)

 となるでしょうか。あえて『チャイルド44』は外しました。あざとい展開に後味悪さを感じたのと、すでに「このミス」で1位を獲っている以上こんなちっぽけなブログで称えることもあるまいというのが、主な理由です。また、新潮社様いわく、「次回作はもっと凄い」ということなので、次の作品を見据えてから評価したいという気持ちもあります。

 なんだか、ベスト3選出の積極的な理由よりも、『チャイルド44』を外した理由の方が長くなってしまいました。

 『フロスト気質(上)(下)』はフロスト親父のキャラクターと、終盤の息詰まる展開に、敬意を表して。これを1位にすることは夏に決めてましたが、決心が揺らぐことはありませんでした。

 『極限捜査』はあまり話題になってませんね。『チャイルド44』とほぼ同時期の共産圏の架空の小国を舞台とした硬派な刑事小説です。シリーズはあと3作残っているとのことなので、ヘニング・マンケル同様、次回作あたりでベストに名前を出してくるのではないか、そういう気がします。

 『タンゴステップ(上)(下)』は終始地味ながらも、トータルの完成度で3位に入れました。これも刑事小説。主人公が舌癌を抱えてやや捨て鉢になっている小心な中年男であるところ、と、冒頭の恐ろしく猟奇的な殺人シーンとの対比の面白さが印象に残ります。

 さて、今年読んだものの今年刊行ではなかった作品のうち、印象に残ったものとしては、

ゴーリキー・パーク〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

ゴーリキー・パーク〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

レッド・スクエア〈上〉 (Mystery paperbacks)

レッド・スクエア〈上〉 (Mystery paperbacks)

 のレンコ捜査官のシリーズ。

 それから、P.D.ジェイムズ

死の味〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

死の味〈上〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 SFになっちゃいますが、

終りなき戦い (ハヤカワ文庫 SF (634))

終りなき戦い (ハヤカワ文庫 SF (634))

 を推したいと思います。

 振り返ってみると、今年は、『このミス』20位までの作品の内15作を既読という、相当充実した読書ライフを過ごせたと思います。今後のことを考えると、こんな年は二度とこないでしょう。老境を迎えて再び時間が出来た頃に、同じ無茶をしたいと思います。